月刊ぷらざ3月号に掲載されました。
皆様是非、御覧下さい。
頼ってもいい。自分で考え自分らしく生きるための〝自立〟を。
今回お話を伺ったのはNPO法人「自立支援センターおおいた」の理事長・米倉さん。
自身も車いす生活を送り、障がい者が自分の意志で〝自分らしく〟生きていくためのサポートを行っている。
その活動の原点にあるのは自身の経験。
「23歳のとき事故にあってね。車いすにはなったけど、退院しても実家には帰りたくなかった。どうしても頼ってしまうから」。
自分らしさを失わず生きていきたい―そのために米倉さんが考えたことは、〝自立した生活〟。
親元には帰らず、施設の仲間が経営するアパートに住み、自分の力で生きて行く道を選んだ。
「自力っていっても、全てを一人でやるわけじゃない。だって料理を作るのに4~5時間もかけてたら他に何もできないでしょう?人の手を借りてもいい、自分の〝意志〟で生活することが大事なんです」。
手を借りることで、空いた時間は健常者と同じように自分の趣味や外出などに費やす。
自己決定をし、当たり前に人生を楽しむ―それが本当の意味での自立だという。
退院後、アパートでサポートを受けながら暮らし10年。
様々なことにチャレンジしてきた米倉さん。
「宅建の資格をとったり、介護用品を開発したり…頭で稼ぐしかないかなって(笑)」。
そして平成17年。障がい者支援の枠を広げた「障害者自立支援法」の成立を機に、自立支援センターおおいたを立ち上げた。
障害者が考える、障がい者のサポート。自立支援だけでなく、障がい者用トイレのプロデュース、旅行者を現地でサポートする「バリアフリー観光センター」の設立等、持ち前の行動力と常に前向きなプラス思考で活動の枠を広げてきた。
「福祉はビジネスとして捉えていくことも大切なんですよ。ボランティアをしましょう、だけじゃ正直難しい。でも、障がい者用の広いトイレを作るとお客様が増えます。つまりビジネスチャンスだと伝えたら…?」充実した支援は気持ちだけではできない。
実際、障がい者用トイレを作り、観光客を倍に増やした例もある。
どんな動機であれ、一人でも福祉に関心を持つ人が増えれば、その関心は具体的な形となり、障がい者の未来を大きく広げる。
他にも、障がい者の方への接し方を教えてくれる「おもてなしヘルプメイト」講座の実施、障がい者の方の就労の場にもなっている「別府からあげ夢現鶏」・ユニバーサルスペース「夢喰夢叶」の経営など、障がい者、健常者が変わらぬ立場で共に楽しみ、暮らしていくことを目的とした様々な活動を行っている。
「自分も楽しみたいからね」と笑う米倉さん。一度しかない人生。どんな立場でも楽しめるかは自分次第。そう思わせてくれる笑顔だった。
前を向くのに必要なのはほんの些細なきっかけなのかもしれない。米倉さん達はその〝きっかけ〟作りのために今日も奔走する。